裏英彦山(県境コース)

【前書き】
 現在、英彦山周辺の山に登っています。2万5千分の一地形図“英彦山”を参考に上仏来山黒岩山苅又山三陀山等に登りました。次は上塚山に登りたいと思い色々地形図上で構想を練っておりました。
 上塚山に登るとすると地形図上では、岳滅鬼峠から日田市と現在は中津市かな?の境界の尾根伝いに辿るコース、ガラメキ峠から尾根伝いに北上するコース、日田市の市木辺りから登るコースが考えられます。ホームページで検索するとガラメキ峠からのコースは紹介されているのですが、その他のコースはどうなのか不明です。
 岳滅鬼峠から東進し、日田-中津市境界尾根を南下するコースが可能か、否か調べるために福岡県境尾根の事を調べるうちにこのコースが、裏英彦山コースとしてそれぞれのピークに石楠花の頭(1020mピーク)、猫の丸尾(1044mピーク)等の名前が付けられている事を知りました。
 今回は上塚山方面に尾根伝いに行けるか、否かの確認を兼ねて裏英彦山コースを歩きました。

【コースタイム】湯ノ山駐車場(9:10)→大南林道横断(10:15)→岳滅鬼峠(10:50)→5mの岩場(12:00)
          →3境界(12:20)→石楠花の頭(13:00)→猫の丸尾(14:15)→篭水峠(15:00)
          →鬼杉(16:00)→湯ノ山駐車場(16:45)
【年月日】’06.2.12(日)
【同行者】単独
【場所】国土地理院 ウオッちず地図閲覧サービス(試験公開) 503017 2万5千分1地形図名:英彦山 [北西]

【写真と解説】

岳滅鬼峠手前から英彦山
97年3月に岳滅鬼山に登っています。
その時は岳滅鬼峠の手前は笹が切り払われ非常に見晴らしが良かったような記憶があるのですが、今回は見晴らしの良い場所は余りありませんでした。

この日、岳滅鬼山方向に私が逢っただけで3名の登山者がありましたが、猫の丸尾方向には私だけでした。

写真中央が英彦山南岳、右が北岳だと思います。中岳はこの位置からは南岳に隠れて見えません。
岳滅鬼峠の石碑
岳滅鬼峠の東側の石碑です。

“豊前國小倉領”と書いてあります。

昔はこの峠を生活道路として結構、多くの人が通行していたんでしょうね。

何となく歴史を感じます。
岳滅鬼峠の石碑
岳滅鬼峠の西側の石碑です。

こちらに行くと岳滅鬼山です。

大南林道横断の手前でかなり高齢のおばあちゃんに追い越されました。私は今日は6〜7時間歩くことになるだろうからゆっくりと歩いていましたが、まるで仙人みたい。それも単独で。

びっくりしました。
5Mの岩場
ここは福岡県・日田市・中津市?の3境界の一つ手前のピークの岩場です。“5Mの岩場”と言うようです。

右側は崖で10m位落ち込んでいます。ここに来るまでに雪で倒れたスズタケをどけたりするので軍手は完全に濡れて手が悴んでいます。

上によじ登らなければならないのに足場は悪いし、下は崖だし、非常に緊張しました。

取り敢えず、冷静さを取り戻すために呼吸を整えて写真を撮ったりしました。
5Mの岩場の手前
“5Mの岩場”の手前側です。

雪の白いところが道で両側は崖です。

岳滅鬼峠直ぐの998mピークからここまでは痩せ尾根状態の場所が多いです。

ある所では登山道に直径15cm位の穴が開いており、そこから下を覗くと下は完全な空間でした。登山道自体幅が60〜70cm位しかないのですが、道のように見えて実は木の根が崖の上に張り出して道のように見えているだけでした。それとも後から登山道の下が崩れ落ちて道だけ残ったのかもしれませんが。

どちらにしてもあまり気持ちの良いコースではありません。
3境界手前から上塚山方面
3境界から上塚山の方には尾根の木が切り払われていたので多分、尾根伝いに行けるのではないかと思いましたが、どこまで切り払われているのか分りません。

地形図で見ると尾根が痩せていて危険な部分もあるかもしれません。

写真右のピークは地形図上の988mピークだと思います。
3境界付近
このコースは尾根上を辿るので基本的に道に迷うことは無いと思いますが、雪で倒れたスズタケには困りました。

雪でスズタケが倒れるとまずコースが不明になります。道でないところを歩く恐れがあります。次に倒れたスズタケが雪で凍結していると強引に押してもびくともしません。従って、足を持ち上げて倒れたスズタケを踏み倒して歩くか、倒れたスズタケの下を這って進むしかありません。

実際、急な登り坂では倒れたスズタケの下の空間を這って進みました。この作業は本当に嫌になります。
英彦山南岳と猫の丸尾
石楠花の頭付近からの写真です。

この付近には名前の通り、石楠花の木が生えています。

写真手前中央の禿山が猫の丸尾でその奥が英彦山南岳です。

猫の丸尾を登るのは疲れもあってちょっと大変でした。
障子ヶ岳と黒岩山
石楠花の頭を過ぎたところから見た障子ヶ岳と黒岩山です。

写真手前右寄りの山が黒岩山でその奥の左よりの山が障子ヶ岳です。

遠方の霞んで見えるのは馬見山だと思います。
猫の丸尾手前
猫の丸尾を直接目指すと大変です。

右の禿山の植林との境界沿いに登って、尾根を歩いて猫の丸尾に行くのが多分、ベストでしょう。

私はついつい斜面を斜めに横断して猫の丸尾に行きましたが、非常に歩き辛いです。

ここで鹿を1頭見ました。結構大きくて迫力がありました。
猫の丸尾から耶馬溪方面?
東南東位でしょうか、特異な形をした山並みが見えます。耶馬溪だと思います。

写真では霞んでよく見えませんが、遠方には由布岳や鶴見岳、九重山系等も見えました。

今日山に登ったのは、移動性高気圧が近づいてくるとの予報に従ってのことですが、バッチリでした。
石楠花の頭
写真中央右寄りの尾根が石楠花の頭です。

猫の丸尾へのコースは石楠花の頭から写真の左斜め下へ尾根を下って来て、そのまま植林との境界に沿って登っていくのが良いでしょう。

尾根を降りてきた辺りは落葉樹の林で雪の中を歩くのが非常に楽しかったです。

石楠花の頭手前でスズタケが眼鏡に引っ掛かって、眼鏡が飛んでどこに行ったか分らなくなったのには困りました。冷静に探して見つけることが出来ましたが。
コース全景
今日のコースのほぼ全景です。

写真右のピークが岳滅鬼峠から直ぐの998mピーク。写真左が1020mピークの石楠花の頭です。

このコースは結構危険なのでもう歩くことは無いと思いますが、歩くとすれば今回の逆コースの方が安全に歩けると思います。

理由は痩せ尾根を下りに使うよりも登りに使う頻度の多いほうが安全だと思うからです。
篭水峠から1071mピークの岩壁
猫の丸尾から篭水峠までは1つのピークを越えていきます。そのピークの手前でそこを篭水峠かな?と迷ったのですが、地形図を取り出して確認して前進。

地形図通り岩壁手前に篭水峠の小さな標識がありました。この時点で15時。日暮れまでに下山できるか、少し不安になり始めました。

ここからの下山コースは動物の足跡と赤いテープを目印に進みました。雪で登山道がどこか分らないので勘が頼りです。しかし、気がついたのですが、動物は大概、登山道の上に足跡を付けてくれていました。
大南神社
大南神社に寄らずに直接、鬼杉に下るつもりでしたが、ロープでコースが閉ざされていたので大南神社に寄りました。

ここまで来れば、一安心です。

5M岩場手前で既に濡れていた軍手の件ですが、その後は純毛の手袋の上にゴア製の手袋をはめて非常に快適でした。

篭水峠から下る途中では茶色の雉が背後から飛んできました。飛んでる雉を見たのは初めてです。
鬼杉
樹齢1200年の鬼杉です。

ここが16時。この日は、もし行方不明になったら探すのに苦労するだろうと思って携帯の電波が通じる尾根上の要所要所で家に現在位置を連絡しました。

通常、山中1泊位は出来るように準備はしているつもりですが、もし、夜になって下山できなかった場合、事前に家族に1日は待てと伝えておくべきか、もし、転落して帰れないのなら早い捜索が必要だし、色々なパターンを考えながら下山しました。

こういう場合、やはり単独は望ましくないのでしょうが、・・・・・・・。

【後書き】
 下山後、靴を脱ごうとしたら腿が攣るし、腹筋も攣りそう、帰りの運転中には手の指も攣り始める始末。倒れて凍結したスズタケの影響が大きかったと思います。
 目的の一つであった上塚山へは3境界から行けそうな感じですが、はたしてこの自分の歩くペースで上塚山往復が可能なのか? ゆっくり検討しよう。
 今回の岳滅鬼峠〜猫の丸尾コースについては、非常に危険な箇所があるので要注意です。特に998mピークを過ぎてから5Mの岩場までのどこだったか記録してないのですが、登山道の下が抉れている場所、即ち、上から見ると一見道のように見えるが、下は空間(10m以上垂直の崖)の場所があります。いつからそうなのか分りませんが、目印は登山道に開いた15cm程度の穴です。崩れるのならさっさと崩れた方が安全上良いと思うのですが、今考えると心配です。

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